一級建築士製図試験が近づいてきました。
受験生にとっては踏ん張りどころですよね。
今回は一級建築士2015の製図試験で合格するためのエスキス手順と時間配分について調べてみました。
このエスキス手順は基準階の集合住宅が出題された2015年の製図試験用です。
今後基準階の課題が出た際には使える内容となっています。
基準階ではない製図試験の手順はこちらを使用してください。
一級建築士製図試験(基準階)で合格するエスキス手順
一級建築士の受験生の中には中々エスキスの手順が確立しないという方が多くいらっしゃいます。
一級建築士の製図試験で合格するためには、エスキスの手順を確立していることが絶対条件です。
遅くとも9月中に自分の中で絶対的なエスキス手順を持っておきたいところです。
そこで今回は多くの方にそのまま採用していただける超実践的なエスキス手順を公開します。
この手順を使って本試験までに3回ほどエスキスを行うことが出来れば良いのではないかと思います。
手順を「呪文」で覚える
意味を覚える前に手順を暗記します。
相外アッ可 そうがいあっか
基階Gバ廊 きかいぐりっどばろう
コマコア400 こまこあ400
意味はこの後説明していきますが、とりあえず何度も読んで暗記します。
読要設建(どくようせっけん)
薬用石鹸ではなく「読要設建」です。
読(どく)
問題文を読みます。
マーカー等を引かずに、一通り5〜6分かけて読みます。
そのあと改めてじっくり読み始めます。
課題分を読む順番は効率を考えて、以下の順番で読みます。
1-3.その他の施設等計画可能面積算出の根拠1-2.建築物動線や各室の詳細条件
1.設計条件 主文 | 重要な文を含む |
1-4.計画にあたっての留意事項 | 設備の指定があるかも |
Ⅱ.要求図書 | 変わった指定や切断位置に注意 |
1-1.敷地及び周辺条件 | 計画可能面積算出にも使用 |
建築物の詳細はエスキス開始の直前に読むほうが細かな部分を忘れないので有利です。
要(よう)
課題分後半の「計画の要点」部分を読み、一体どのような事が問われているのかを把握します。
設(せっ)
「計画の要点」の設備計画の部分を読み、採用する設備をある程度決めます。
例えば、「集会ホールに採用した空調設備と採用した理由」という問題があったら、集会ホールの天井高が5Mある場合、空冷ヒートポンプパッケージ方式 床置きダクト接続型を採用します。
また、課題文中で給水や給湯設備の指定がある場合はここで確認しておきます。
建(けん)
課題文の「敷地及び周辺条件」を見て建ぺい率を計算しておきます。
相外アッ可(そうがいあっか)
「相外アッ可」の暗号の説明です。
相(そう)
面積の想定です。
要求室の表中の「適宜」の室の面積想定をします。
デイサービスの食堂は3平米/人です。
地域住民の利用する集会室は2平米/人です。
外(がい)
「その他の施設等」を見ながら建物の外部に配置するものを確認します。
駐車場の種類や数を間違えないようにしましょう。
屋外テラス等の設置位置もしっかり確認しましょう。
アッ
敷地及び周辺条件を見ながらアプローチの検討をします。
デイサービスや集合住宅、サービスのそれぞれのアプローチはどの位置が最適かをじっくり考えます。
可(か)
計画可能面積を出します。
免震基礎のクリアランスや駐車場、駐輪場等を考慮して建物のセットバック寸法を出し、計画できる最大の建築面積を出します。
建ぺい率と比べてオーバーしないことを確認します。
基階Gバ廊(きかいぐりっどばろう)
基階Gバ廊の説明です。
基(き)
基準階です。
まず要求室面積の合計を出します。
可能面積から、計画可能な全パターンのグリッド候補を出しておきます。
パターン毎に基準階のプランを作ります。
ここで基準階がはまらないグリッドは捨てます。
階(かい)
要求室表の左側の余白を利用して1階・2階の振り分けを行います。
1階2階のそれぞれの面積も出します。
ここで、1・2階を同じくらいの面積に調整するのではなく、用途的にまとめた方が良い室は同じ階にまとめてみましょう。
グリッド候補に面積を当てはめて何コマ必要かを出します。
部門ごとの必要コマ数とグリッド候補のコマ数を比較しながら、2階のボリュームを1階と同じにした方が良いのか基準階と同じにした方が良いのかを判断します。
G(ぐりっど)
グリッドを決定します。
7M × 7M
7M × 6M
6M × 7M
上記のどれかになると思いますが、基準階のプランニングの時点で2つくらいに絞れるんじゃないかと思います。
バ廊(ばろう)
基準階のバルコニーと廊下を柱の中に取り込むのか外に持ち出すのかで面積の調整をします。
廊下は出来るだけ3Mとると高齢者に配慮しているので良いですよ。
コマコア400
コマプラン
方眼紙の一マスを一コマとして極小の平面図を作ります。
小さいので手を動かす範囲が小さいため早くでき、たくさんできます。
注意点は細かく書き込みすぎないことです。
ここでハマってしまわないように注意が必要です。
面積的に室が収まることが分かれば良いという気持ちでやりましょう。
ポイントはまず廊下を通すことです。
銅線を確保して一コマに1部屋または2部屋という感じでサラリと書きます。
コアの位置
集合住宅のアプローチ位置とコアの位置は密接に関係しています。
最後に反転したい場合にも焦らず処理します。
横長敷地の場合は東西で反転可能ですし、縦長敷地で住戸が東西を向いている場合は東西南北反転が出来るかもしれません。
反転する場合を考慮してコアの位置は最後に決める覚悟でいる方が良いと思います。
400
エスキスの仕上げに1/400平面図を作ります。
作図に入った時にトレースしやすいように、壁と室名をはっきり綺麗に書きます。
断面図はコマでも良いですが、室名を書いておくと作図が早いですよ。
一級建築士製図試験(基準階)の時間配分
一級建築士の製図試験は時間配分が大事になってきます。
エスキス | 2時間 |
記述 | 1時間 |
作図 | 3時間 |
チェック・加筆 | 30分 |
一般的にこのように言われています。
しかしこんなにうまくいく事は無いと思いましょう。
本番ではエスキスに2時間30分かかると思っておきます。
記述にも1時間10分かかると。
残りは2時間50分しかありません。
「2時間50分の中で何とかミスのない図面をまとめる」と思っておくのです。
ですから正しい時間配分はリアルには下の図くらいです。
エスキス | 2時間30分 |
記述 | 1時間10分 |
作図 | 2時間50分 |
チェック・加筆 | 作図時間に含む |
この時間配分で想定しておいて早く終わったらラッキーだと思いましょう。
参考記事を作りましたので、参考にしてみてください。
以上、今回は
- 合格するエスキス手順
- 合格するための時間配分
という内容でお送りしました。
様々な受験生の意見を取り入れて出来上がった2015年版のエスキス手順と時間配分でした。
最後まで読んでいただきありがとうございました。